白い日記

 

                                作品119

                             1976年1月12日作

 

    白い日記


深い眠りが私を襲ってくる けれどこのまま眠ってしまったなら

今日のあなたとの楽しい想い出が 飛び去ってしまいそう

今日の別れの時の「さようなら」は あなたの震える甘い口びる

ふたたび甦る枕下(まくらもと)の日記の インクの青さ鮮やか

   あなたの名が日記に現れたのは いつの日のことだったろうか

   今日も白いページにあなたの名を記す 忘れぬように

もう眠りについてもいいでしょう どんな深い眠りが襲っても

夢は遠く宇宙を翔(かけ)めぐりて 愛は消えることはない

   あなたの名が日記からもしも消えたなら それからは白いページだけ

   私の指は微かな動きもなく 停まってしまう

   あなたは永久に消えることなく 私の脳裡に生きつづけ

   いつか二人この部屋で頬を寄せ合い 星を見るでしょう