五月の風

   

                                 作品111

                             1975年5月25日作

                             

   五月の風


五月の雨が僕に語りかけてくる 恋人も今は遠い一人ぼっちのこの僕に

けだるい今日という一日が過ぎる むなしい心の中に雨の音がして

五月の風が僕にほゝ笑みをくれる 悲しい恋の後で泣いているこの僕に

古い日記は風が持ち去って 白い日記帳を僕に運んでくる

   「このまっ白な新しい日記に きっと現れるすてきな娘(こ)のこと

   思いっきり書いてみるんだ」そんなふうに風は僕を勇気づける

五月の空は高く青く広がり 新しい緑は明るい太陽に輝いて

僕にもきっと新しい恋の芽が明日(あした)にでもすぐにできるでしょう

   きっときっと五月の風が運んでくる 運んでくる 運んでくる