柿の実

 

                                作品67

                             1969年10月24日作

 

    柿の実


1.柿の実が一つまだ残っていた 他の仲間はもういない

  柿の実は一人さびしく枝に 涙をながしじっとしていた

     「もうすぐ寒い冬が来る あなたは寒くないの」

  みんなはきっと今頃はどこか 暖かいお部屋にいるのでしょう

2.柿の実がぼくに答えました 「だって柿の木さんがかわいそうなの

  わたしがいなくなってしまったら 柿の木さんはさびしいでしょう」

     ぼくの目からなぜか一粒 涙が流れた

  ぼくにもこんな友達がいたなら 寒い冬の日も暖かいでしょう